オススメでっす その1
「突堤のある風景」坂上弘著
「あとがき」によると、ほぼ二十年間に発表された四つの作品をまとめた、ということですが、主人公が信一であり、女性が美代子であることで共通しており、しかも昭和三十年代という時代背景が共通していて、私には充分に納得できる長篇であると思えます。
信一と美代子の同棲生活といえば、ありふれた男女の生活に過ぎないのですが、ここには信一の十代後半から数年間の男の自立という問題も含まれており、そこが私には特に興味深いと思えるのです。
男の自立というからには社会的存在としての自覚であり、あくまでも時代的背景を抜きにしては語れない。