オススメでっす その6
「或る過程」小川国夫著
小川氏の採用している文体は、剛直であり犀利です。
いわば日本男子型とでも言えば言えるか。
志賀直哉を手本にしたとこの本に書いてありますが、さらに言えば家父長制社会の男子型とでも言えるものであって、敗戦を境にしてすべてが軟弱に無定型に流れ去っていく現代にあって、この文学は貴重である、と私などは思ってきたものです。
いま任意に、この本の中の文を引用してみよう。
「言葉に対しても、手仕事が与えるのと同じ作用を期待していたことを、あとになって意識した。
こうした〈密室のグルグル回り〉は本来等閑に付してしまうことはできないものであることです。
だから苦しくてもそこから逃げないこと。