前回の続き
前回の続きですが、屋根の上には立派な鬼瓦が数箇あって、外壁リフォームを甚だ壮麗なものとしています。
建物は悉く木造であるに拘らず、内外共に石及び石灰を用いて造ったものの如く見えます。
要するに此建築は欧洲の最も壮麗なる建築と比することが出来ます。
(村上直次郎訳『耶蘇会の日本年報』第一輯、「一五八一年の日本年報、安土山のカザ及レジデンシャに付いて」より引用)一読して太田牛一の説く天守内外の華麗が、決して誇張でなかったことを知る。
そして「外部は各層違った色」にしていたというところに、この天守が総塗籠でなかった何よりの証拠を見る。
しかるに後段の「木造であるに拘らず、内外共に石及び石灰を用いて造ったものの如く見える」という表現は、あたかもこの天守が総塗籠であったかのような印象を受け、前段の記述や『信長公記』の内容と矛盾する。